広島県公立大学法人 叡啓大学

大学案内

卒業生

大久保帆夏さん

株式会社NTTデータ中国 2025年3月卒業

2026年1月更新

やりたいことが明確ではなかった学生が、積極的に行動することで大きく成長!
ITインフラの構築に携わる叡啓大学1期生が語る、「どう学ぶか」の大切さ

 2021年4月に開学した叡啓大学(学長:有信睦弘、広島市中区)では、「修得」と「実践」で構成するカリキュラム体系を採用しています。ディプロマ・ポリシー(卒業認定・学位授与方針)で定められたコンピテンシー(資質・能力)が身につくよう「リベラルアーツ科目」「基本ツール科目」「実践英語」による知識・スキルの「修得」と、「課題解決演習」「体験・実践プログラム」による「実践」を繰り返しながら学びを深めます。 

 特徴的なのが「卒業プロジェクト」です。大学での学びの集大成として、学生自らがテーマを設定し、課題の明確化と解決策を導き出すことを目指します。成果を発表する最終の公開プレゼンテーションまで、あくまで学生が主体で、教員は伴走する形でサポートします。 

 また「体験・実践プログラム」では、学生が国内および海外での活動に参加することを必修としており、2年次または3年次に必ず1回は海外でインターンシップやボランティア短期留学などのいずれかに取り組まなければなりません。2025年3月に卒業した1期生たちの多くは、この経験が自身にとって大きなターニングポイントになったと話します。 

 株式会社NTTデータ中国(本社:広島市)に就職し、ITインフラの構築に携わる大久保帆夏さんも、その一人です。入学時はやりたいことが明確でなかったという大久保さんが、叡啓大学でどう学び、どのように成長したのか、話を聞きました。 

面白そうと思う授業は全部履修 

―進学に際して、何がしたいかはっきり決まっていなかった、そうですね。 

 特にこの分野を学びたいとか、将来この仕事に就きたいとかはありませんでした。だからこそ幅広く学べる叡啓大学を選びました。やりたいことはわからないけど、何かアクションを起こしたいという気持ちはあったので、いろんなことにチャレンジして自分の興味を明確にしたかったのです。 

 大きかったのは、1期生だったこともあり、周りにアクティブな学生が多かったことです。さまざまな学生発信のプロジェクトにかかわる・巻き込まれることで私も自然と「こうやったらどうだろう」と積極的に考えたり行動したりできるようになっていきました。例えば友人が学年間の交流イベントを行った際も、私がアイデアを出して友人がそれをブラッシュアップする、というように刺激し合いながらより良い形を摸索しました。 

―学びにも積極的に取り組みましたか? 

 はい。面白そうだなと思う授業はできるだけすべて履修するようにしました。そうすると、基本ツール科目のICT・データサイエンスや、リベラルアーツ科目のビジネスデザインが中心になり、自分はこういう方面に興味があるのだと気づくことができました。

PDCAサイクルを回す学び方 

―在学中、大きなターニングポイントになったことは何ですか? 

 3年次の夏に行った体験・実践プログラムの海外プログラムです。大学が提供するプログラムもありましたが、私は計画から実行まで自分の力でやり遂げたいと考え、持込型のプログラムを選びました。 

 プログラムを行ったのは、多民族国家であるカナダのバンクーバーです。現地のコミュニティセンターで未就学児を対象にしたボランティア活動を経験しました。 

―子どもや子どもの支援にも関心を持っていたのですか? 

 友人に誘われて、日本で放課後等デイサービスのアルバイトをしていました。それまでは自分が子どもに関心があるとは思っていませんでしたが、アルバイトを通して子どもの魅力を知り、関心が高まっていきました。 

 カナダでは初めのうち英語力に自信がなく、どのようにコミュニケーションを取ればよいのか、わからなかったのですが、週単位で日記を付けることで自分の行動を振り返り、「次はこうしよう」と目標を立てて改善につなげる、というふうにPDCAサイクルを回すことを心がけました。例えば日本とカナダでは子どもへのかかわり方が違います。日本では集団行動をすることが多いですが、カナダでは子どものやりたいことを優先します。そうした文化の違いを理解することで、声かけ一つとっても「これをやろうね」ではなく、「どうしたい?」というように変わっていきました。 

親和図とフィールドワークで課題を形に 

―卒業プロジェクトでも子どもをテーマにしていますね。 

 はい、療育をテーマに取り上げました。「療育の質を上げるにはどうすればいいだろう」と考え、文献を読み、よく見るキーワードや、よくある場面を親和図として書き出しました。「人とのかかわり」というジャンルを立て、子どもたち、親、支援者といったカテゴリー分けをしていく中で、支援者を支援することで療育の質を上げられるのではないかと気づきました。こういう学びのアプローチは、課題解決演習(PBL)で取り組んできたものです。 

 また、フィールドワークとして現場の職員さんにインタビューも行いました。質問の仕方については、先生がアドバイスしてくださいました。例えば「今必要なツールは何ですか?」と聞くのではなく、「どんなことが大変ですか?」と聞いてみる。あるいは「ドラえもんの道具が手に入るとしたら何がほしいですか?」と変化をつけてみる。そうやって問いかけを工夫することで本質的なものが見えてくる、といったことも教えていただきました。 

―親和図の作成やフィールドワークのインタビューによって、どんな課題が見えてきましたか? 

 子どもたちを支援する職員さんが事務作業に多くの時間を取られている、ということがわかってきました。その負担を軽減すれば、子どもと向き合う時間が多く確保でき、療育の質の向上が図れるはずです。 

 負担になっている事務作業は大きく二つあります。そこで解決策として、アプリケーション開発の授業で学んだ知識を生かし、その二つの作業を効率化できるアプリを開発しました。本来は紙ベースでやっているものをデジタル化したり、テンプレートを活用して文章を作成したりできる支援ツールです。4年間で親しんできたITの学びが、集大成として大きな強みになりました。 

「何を学ぶか」より「どう学ぶか」 

―ITスキルを高めた4年間でもあったのですね。それでIT分野に進んだのですか? 

 そうですね。正確に言えば、多くの人に影響を与えたいと思ったからです。授業や卒業プロジェクトでアプリ開発を経験し、その影響力は大きなものがあることを実感しました。IT化やその先のDX化は、業界全体を、社会そのものを根本から変える力を持っています。そういう仕事がしたいと思いました。 

―大学時代に得たものは仕事に生かされていますか? 

 情報を整理して社会課題を形にする力である戦略性や、何でもあきらめずに粘り強く試行錯誤を重ねる姿勢である実行力など身に付けたコンピテンシーは、間違いなく業務に生かされています。最近では設計や計画など上流工程にも携わるようになり、初めてでうまくいかないこともありますが、先輩や上司から社内レビューをもらって仕事にフィードバックすることで、より良いものづくりを目指しています。 

 今あらためて思うのは、大学で大切なのは「何を学ぶか」よりも「どう学ぶか」ではないでしょうか。課題へのアプローチの仕方や、PDCAサイクルの回し方といった「学び方」が身につけば、社会に出てからもあらゆる分野や方面で活用することができます。叡啓大学では、そういう「学び方」を学べました。 

■株式会社NTTデータ中国 上司の方からのコメント 

 会社での学びも、育成プログラムのままに受け取るではなく、どうしたいか、今後どうなりたいかを考えそこに至る道のりを考えることだと思います。異文化、そして子ども達とのふれあいといった経験やそこから培われたコンピテンシーといったものは、学びの姿勢に如実に表れています。

 学生生活とは異なる日々の経験から着実にスキルアップし、使う人の気持ちに寄り添えるITシステムを作り上げれる人材となると期待しています。