広島県公立大学法人 叡啓大学

柄本 矩宗

卒業
プロジェクト
テーマ
システム思考及びデザイン思考による、主観的ウェルビーイングの向上に資する対話型授業のデザイン及びその有効性検証 :  若年層の獲得的幸福感と協調的幸福感を共に育む場作り
卒業
プロジェクト
概要
本プロジェクトは第4期教育振興基本計画(2023年6月閣議決定)で提示された「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」の実現のために、主観的ウェルビーイング(心身社会の幸せ)が向上する学校の授業について、システム思考及びデザイン思考の方法論を援用し、授業を行うこととでその有効性を検証する。同計画及び次期学習指導要領で求められるウェルビーイング向上の授業のモデルが提案でき、教育の変革への貢献が期待される。

システム思考・デザイン思考で挑む
「幸福になる授業」のデザインが自己成長を促す経験に

私は塾講師のアルバイトの経験から、より楽しく面白く、前向きになれる、自己肯定感を上げられるような授業、いわゆる「幸福になる授業」への関心を抱き、学校教育におけるウェルビーイングの向上を目的とした授業のデザインに挑戦しました。ウェルビーイングという学術的に認知されつつある視点を通して、システム思考、デザイン思考で、「幸福になる授業」のフレームワークを作り、実際に模擬授業を行うことでその効果を検証しました。

特に力を入れたのは、システム思考やデザイン思考の手法を活用し、自己のアイデアを論理的に整理・具体化することです。また、アドバイザーの先生方や意見を積極的に取り入れることで多角的な視点を得る努力も重ねました。周囲の協力を仰ぐ姿勢が身につき、物事を「複眼的・多角的視野」で捉えることができたのは、本プロジェクトの成果の一つです。異なる視点を持つ人と定期的に交流する時間を持ってくださったご指導には、本当に感謝しています。

授業プロトタイプの効果を検証する際には、9回にわたる模擬授業とアンケートによる効果検証を行いました。2種類の英語の授業を行い、1つは一方向的に講師が説明する英文法の授業、もう1つは、生徒が講師と一緒に英文を考え、ディベートを行う授業です。生徒が互いの意見を尊重し合うためのルールを明確に提示したり、ポジティブな題材を選んだりと、さまざまなフレームワークを作りました。結果としては、人生満足尺度、協調的幸福感尺度、ポジティブネガティブ感情尺度において、授業前後に有意な主観的ウェルビーイングの向上が表れました。生徒主体でありながら、授業の秩序も守られる有効な授業モデルを検証することができました。

最終報告会でのフィードバック

2024年11月11日(月)開催の「卒業プロジェクト最終報告会」にて、プロジェクトの進捗報告を行いました。
報告会では、外部評価委員として企業・行政などのステークホルダーを招き、プロジェクトに対して、新規性、実現可能性などの観点からフィードバックをもらいます。私のプロジェクトは、NECソリューションズイノベータ株式会社 イノベーション推進本部 シニアプロフェッショナル 石崎浩太郎様、株式会社SANKYO 代表取締役 宮迫雄平様にフィードバックをいただきました。

<フィードバック内容>

・自身で見つけた課題に対して、システム思考・デザイン思考で論理的に解決策を導き出した今回のプロジェクトには、叡啓大学での学びの成果が表れている。2年生の時に当社にインターンシップに参加してくれた柄本さんが4年生になって、卒業プロジェクトを通してさらに成長した姿を見ることができて嬉しい。

・今後の研究として、英語以外の授業や、生徒にとって身近ではないテーマが設定されたグループワークにおいても、ウェルビーイングが向上するフレームワークを検証してはどうか。

・高校等で、類似したテーマで授業を行っている学校もあるため、引き続き情報収集を進めてほしい。

・今回のプロジェクトにおいて最も重要なのは、学生が主体的に学ぶことであるため、授業のテーマについて、なぜ・何のために学ぶのかを明確にし、学生に伝えるということも検討してほしい。

フィードバックいただいた内容をプロジェクトに反映するとともに、今後、顧客満足度を高める意識を従業員に浸透させる手法や、様々な業態においても「スマイルレジ」が導入できるようにする工夫や店舗側のベネフィットの整理、先行事例である「ゆっくりレジ」との差別化など引き続き調査と検証を進め、2025年2月の卒業プロジェクト最終報告書の提出と公開プレゼンテーションに臨みたいと考えています。

 卒業プロジェクトを通じての自身の成長

授業準備から実行までは多くのプレッシャーに直面し、私のやっていることが本当に正しいのかという不安との戦いがありました。しかし、システム思考やデザイン思考の実践的スキルを習得し、今やるべきことや考えるべきことが何なのかを整理することで乗り越えられました。プロジェクトを立ち上げ、学術的手法に基づいて、自分の思いを一つの形に作り上げた経験はとても貴重でした。長期間努力し続けることができた自身の継続力や精神力、大きな達成感は、人格的な成長につながったと自覚しています。そしてその自信が、今後のキャリアや人生において新たな挑戦を支える基盤になると確信しています。