広島県公立大学法人 叡啓大学

2025.07.25

2023年度叡啓大学研究推進事業の成果について

2023年度叡啓大学研究推進事業に採択された研究の成果を報告します。

本学では、研究活動の振興を図るとともに、本学の教育の質の向上及び社会課題の解決につなげることを目的として叡啓大学研究推進事業を実施しています。2023年度に採択され、研究事業期間が終了した研究について、成果を報告します。

研究代表者教授 下ヶ橋 雅樹 Professor SAGEHASHI Masaki
研究テーマ黒瀬川における微小サイズも含めたマイクロプラスチック存在量と生活雑排水処理の関係の解明
研究成果本研究では東広島市から呉市を通じて瀬戸内海に注ぐ黒瀬川において、標準的なマイクロプラスチック(MPs)調査法では測定できず、下水処理においても処理効率が低くなる微小サイズのMPs(SMPsと呼ぶ)の測定を行った。河川での採水に関しては、水中投げ込み式のポンプにフロートをつけたもので連続採水を行った。また、現場での前処理は、ステンレス(SUS)フィルターを用いて吸引ろ過をした。実験室に持ち帰った後に、過硫酸カリウムと水酸化ナトリウムを用いて70℃で処理することで、共存するプラスチック以外の成分を分解した。分解後、サンプルはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターでろ過し、乾燥後に顕微FT-IRでの測定を行った。結果として、現場にて25 μm SUSフィルターでろ過したサンプルにて、広島県がマイクロプラスチック(0.3~5 mm)調査において黒瀬川で検出しているポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、およびポリスチレン(PS)、ならびに広島湾や安芸津安浦地先で観測しているPETが検出された。また、地理情報システムで、流域内の下水道普及状況と人口分布を整理した。今回得られた結果からは、人口分布や下水道普及率とSMPsの明確な関係は見られなかったが、今後の測定結果が蓄積された際のそれらの関係を解析するための情報が整理できた。