
【インタビュー内容】
森嶌様:国際機関への日本人のリクルートに関心が高い人たちとよく話をしますが、叡啓⼤学の取組みに関心を示す人が結構います。今回叡啓⼤学を訪問すると⾔ったら、いろいろ教えてほしいと⾔われました。
川瀨教授:ありがとうございます。
森嶌様:学生の現状、内訳について教えてください。
川瀨教授:3年生は90人程度です。休学、留学中の学生もいます。いわゆる就活をする学生は、60名程度です。留学をしたいなどの理由で、卒業を伸ばしたいと考えている学生もいます。
学生の約4分の1が国際学生です。出身国はシンガポール、ベトナム、アルゼンチンなど様々です。本学は全ての科目を日本語と英語で開講しており、英語での開講科目の単位だけでも卒業できます。なお、少なくとも卒業要件単位の半分(124単位中62単位)は、英語の開講科目で取得しないといけません。
森嶌様:学生の進路のイメージはどうでしょうか。こういう企業に行ける、行ってほしいという希望はありますか。
川瀨教授:自身の興味に基づいて、自分自身で進路を決定することが重要だと思います。もちろん全て自分の望み通りにいくとは限らないですが、自身のチャレンジしたいことを考えて、軸としておくことは大切だと思います。
チャレンジしたいことは何でも良いと思います。起業や開業、NPO、民間企業への就職でも良いし、バックパッカーとして世界を回りたいというのも自身で決めた進路であれば良いと思います。
なお、本学の学生の多くは一般的な企業への就職を目指しています。それはもちろん、県内企業とは限りません。
森嶌様:国際機関に就職したいという学生へのサポートは何かされていますか。
川瀨教授:セミナーの開催や海外で活動をしている方の講演などがあります。また、キャリアデザインオフィスで英語のキャリアガイダンスも開催しました。まずは情報提供の場を作ることが重要だと思っています。
また、業界企業研究会という形で企業の方にセミナーを開催していただいています。合同開催、オンライン開催など形式は様々です。課題解決演習に協力していただいた企業だと、その延長で協力していただけることもあります。海外展開をしているモノづくり関連の企業に参加していただいたこともあります。また、仕事をワークショップ形式で体験するという企画を学生が提案したこともあります。
森嶌様:課題解決演習について詳しく教えてください。
川瀨教授:全学生の必修科目で、企業などが抱える課題について、学生自身で解決策を考える科目です。クライアントとなっていただく企業の参加動機は様々です。Z世代の考え方を知りたいという動機もありました。実際、学生の柔軟な発想に企業の方が感心されることもあります。
テーマ決めについては、担当教員とクライアント企業様で協議しています。先方の知りたいことを丁寧にヒアリングしたうえで、学生たちがある程度答えが出せるような課題を選ぶことが重要です。学生は本当に様々な視点から考えていくので、企業の方も興味が尽きないようです。
森嶌様:卒業論文はありますか。
川瀨教授:卒業プロジェクトという形で取り組みます。課題について検証していきますが、その解決策は様々であり、いわゆる資料のような形でまとめられるとは限りません。アプリ開発、劇、コラージュ、自治体への提言など、表現方法は多岐にわたると思います。
森嶌様:いわゆるZ世代の発想は新鮮ですよね。我々も若い人の意見が参考になる場面が多いと思います。日本だと課題解決演習のようなトレーニングを積んでいる学生は少ないと思いますが、入試で学生をどのように選抜しているのですか。高校との連携はありますか。
川瀨教授:学習指導要領により、高校では「総合的な探究の時間」が必修とされています。このような探究の時間に熱心な高校とは連携しています。
森嶌様:特に一生懸命取り組んでいる高校はありますか。
川瀨教授:熱心な先生がいる高校はやはりしっかり取り組む傾向にあります。また、校長・教頭も探究の時間が大事だと思っているかどうかが重要です。いずれにせよ、探究に対して理解がある先生がいるかに左右されます。
森嶌様:リクルートの取組みとして、今までは即戦力となる⼤学院⽣以上にアプローチすることが多かったのですが、大学・大学院選びも重要な要素となることから、今後は⾼校⽣以下もターゲットとして考えています。キャリアパス形成についても貴学と連携したいと思っています。EBRD(欧州復興開発銀⾏)もそうなのですが、特に地域開発金融機関には⽇本⼈が少ないので、そこで働きたいという学⽣には早めにアピールしておきたいと思っています。こういった機関は、能⼒が⾼いから採⽤するわけでもないんです。機関のニーズと候補者の経験・スキルがマッチングすることが重要です。どんなに優秀な人でもニーズにマッチングしないと採用してもらえません。そういう方には、能力がないから不採用になったわけではなく先方のニーズとマッチングしなかっただけなので、あきらめずに次のチャレンジをしてほしいというアドバイスをするようにしています。日本はそれなりに金銭面での貢献を行っているので、同程度の人的貢献もすべきだと思っています。
川瀨教授:キャリアメンターに登録いただいたのも学生への一つのアピール方法として使えると思います。叡啓大学は、OB・OGがいないので、しばらくは外部の力をお借りしないといけません。卒業生が出ても、その企業に長くいないと分からないこともあるので、幅広い年齢のメンターがいた方が良いと思っています。
また、叡啓大学は、体験・実践プログラムとして国内外インターンシップ、国内外ボランティアも科目として設置しています。
森嶌様:海外の大学だと、ボランティアは当たり前にやりますね。叡啓大学様とは今後もつながりを大切にしていきたいと思います。
川瀨教授:こちらこそぜひよろしくお願いします。

