日本とドイツのボランティア活動を行っている学生の交流を推進することで高い国際感覚を備えた青少年の育成を図ることを目的に、文部科学省等が主催する「日独学生青年リーダー交流 派遣事業」10名のメンバーとして、本学1年生の前田遥夏さんが、9月中旬から約2週間、ドイツに派遣されました。
事業名 |
2023年度 日独学生青年リーダー交流派遣事業 |
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研修テーマ |
「若者の社会参画」 |
本学学生 |
前田 遥夏さん(1年生) |
前田さんからの活動報告
渡航前の東京合宿

ドイツ出発に向け、東京で3日間の事前研修に参加しました。
メンバーやドイツ団との顔合わせ後、「若者の社会参画」というテーマでディスカッションを行いました。ドイツと日本の異なる価値観や考え方を共有することができ、有意義な時間になりました。
特に印象に残っているプログラムは、東京観光で浅草にドイツ団と訪れたことです。英語での電車の乗り方や神社仏閣の説明はもちろん、浴衣を着て参拝している理由や日本の宗教感覚についての説明が難しく、私自身も日本について考え直すきっかけになりました。
この経験をもとに、ドイツ派遣までの期間、日本文化や伝統についての学習や、ドイツ語、英語のさらなる習得に時間を割くことができました。
ベルリンで感じた若者の政治意識の高さ

ベルリンでは主に、講義やワークショップへの参加、若者主催のボランティア団体への訪問を行いました。
ドイツは日本に比べ、ボランティアに対するハードルが低いと感じました。また、若者の意見を言う場が多く設けられ、すべての人が発言し、受け入れられる環境の必要性が尊重されており、訪問先の団体でも発言すると受け入れられる環境が整っていました。
ベルリンで最も印象に残っているのが若者の政治に対する意識の高さです。ドイツ滞在中、「Fridays For Future」というデモが行われていました。日本では若者が主体となって取り組むデモを見る機会は少ないですが、ドイツでは、国が直面している問題に市民が関心を持ち、政治に参加することで、国を変えることができると考えられていました。この考え方は私にとって新しく、とても興味深く感じました。
教育の大切さを実感した合宿セミナー

ベルリン滞在後、ラーヴェンスブリュックへ移動し、3日間、ドイツ団との合宿セミナーが行われました。
そこでは主に、個人が話し合いたい課題を持ち寄り、グループディスカッションを行いました。その中で私はドイツの教育に興味を持ちました。ドイツでは、WWⅡ(第2次世界大戦)の学習に力を入れており、日本のような年代順の歴史の授業が行われていませんでした。ドイツが起こした過去を振り返り、自分がその立場だったらどう思うか、どう行動するかなどを自分のこととしてとらえ、真剣に考え、学ぶ機会がありました。これを踏まえ、私は、満州事変やパールハーバーなどを深く学ぶ機会が日本には少ないと感じました。
ドレスデンで報道、社会における差別や偏見を学ぶ
ドレスデンでは、ボランティア団体の訪問や大学訪問、歴史学習を行いました。
ドレスデンは壮大で美しい歴史的な建物が多くある街並みでした。しかし、歴史を振り返ってみると、広島の原爆の5か月前に、アメリカ、イギリス両軍による爆撃を受けていたことを知りました。そのため、ドレスデンは「ドイツのヒロシマ」と呼ばれ、広島とドイツには深い共通点があることを学びました。
団体訪問では、ドレスデン工科大学へ行き、報道、社会における差別や偏見についての講義を受けました。報道は、大きな出来事であっても、それがまるですべてかのように報道されるが、視聴者は、特定の側面からしかその出来事を見ていないこと、また、ゲームには差別や偏見の含まれたものも多く存在しており、私たちはそれを日常的に使用することで固定観念を植え付けられていることを知りました。そのため、広い視野を持って、一つの側面ではなく様々な面から情報を受け取る必要性があると学びました。


若者の社会参画の大切さを実感ー物事を自分ごととしてとらえ、挑戦していきたい

今回のドイツ派遣では、他人ごとではなく、自分ごととして物事をとらえ、自分の目で見て、体験することの大切さを実感しました。もう少し事前にドイツの知識を得て渡航していれば、より自分の考えや意見を述べることができたのでは、と悔やまれる点はありますが、今後、世界情勢や各国の文化、価値観、宗教などを学び、経験を生かしていこうというモチベーションにつながっています。
帰国後、ドイツで学び体験したことを多くの人に伝えたいと考え、高校生の時から参加している、広島市の「Peace Night Hiroshima」という活動で、高校生・大学生に向けて報告をさせていただきました。
そこで伝えた、社会に興味、関心を持ち、参画していくことの大切さ、挑戦する志を高く持つことを、自分が率先して実践していきたいです。