叡啓大学では学生のコンピテンシー育成及びキャリア形成支援の一環として、「イブニングラウンジ」を開催しています。
1月15日(月)のイブニングラウンジでは、『ニュータイプの時代』『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』など数多くの著者で、株式会社中川政七商店社外取締役、株式会社モバイルファクトリー社外取締役でもある、本学客員教授 山口周様にご講演いただきました。山口先生の講演は、学外からの関心も高く、当日は約80名の方々が参加されました。
日時等 |
令和6年1月15日(月曜日)17:10~19:00 |
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対象 |
叡啓大学の学生、教職員並びに学外の方 |
講演タイトル |
クリティカル・ビジネス・パラダイム |
講師 |
山口 周様【本学客員教授】 |
真の顧客志向とは

これまでの日本のものづくり企業は、課題について市場調査を行い、お客様のニーズに合わせて製品化を行ってきました。そのビジネスモデルが「正解」として認識され、他社製品との差別化ができなくなりました。その結果、日本の経済成長率は下降の一途をたどっています。
一方で、顧客の声を聞かず、自社の作りたいものを製品化したApple社が発展を遂げています。その背景には、「自分たちが何を作りたいか」「どんな思いを届けたいか」という思考を大切にしたことがありました。
山口様は、マーケティングや統計の知識も必要だが、重要なのは客観的データに頼りすぎず、企業が自ら問題を作り出し、ありたい姿を創造し、その姿に近づけること。真の顧客志向とは、相手が欲しいものを届けるのではなく、どうやって人生が豊かになる体験や感動を相手に与えるのかである。ありたい姿を描くためには、常に批判的に物事を見て、違和感や問題を見つけ出し、発言することが重要である。さらに、社会批判や社会運動を引き起こす側面を強く持つビジネスの事例をご紹介し、「クリティカル・ビジネス・パラダイム」の思考が世界で広まっているとお話しされました。



パラダイムシフトを起こす人とは
企業が発展するためには、組織の権力格差を小さくし、しっかりとコミュニケーションを取ることが必要です。特定の分野に入って日が浅い若者は、経験がないことが武器となり、新しい発想を思いつく。これは、当たり前と考えられている認識や社会全体の価値観などを劇的に変化させる「パラダイムシフト」を起こす人の特徴です。若い人たちが意見を出し、反論できる環境であれば、それは、社会の成長に役立ち、イノベーションを起こすことができる。ぜひ、違和感や怒りの感情を大切に、問題を見つけ、遠慮をしないでほしいと締めくくりました。
質疑応答では学生から、「活動をする上で怒りの感情や違和感を維持するためにはどうしたらよいか」「ミーティングで意見が通らないとき、どう伝えたら良いか」など、多くの質問が寄せられました。
山口様、貴重なお話をありがとうございました。
