| タイトル | 発達特性のある子どもへの水泳指導における判断構造の課題と支援の可能性 |
| 学生氏名 | 飯田 夏 |

水泳指導の現場での違和感が、社会の構造的課題を問い直す出発点に
スイミングスクールでのアルバイトを通して、集団行動が難しい子どもや発達障がい・グレーゾーンの子どもへの対応が日常的に発生している現状に違和感を抱きました。命に関わる場面で、療育等の専門知識を持たない指導者個人が判断を背負うには限界があります。そこで、指導者の意思決定を支える思考補助ツール「そっとスイム」を開発しました。発達特性のある子どもの行動や不安をデータベース化し、AIが適切な声かけや関わり方を提示する仕組みです。実際にアルバイト先で活用し、プロジェクトの一番の目的であった私自身の指導上の悩みを解消することができました。また、調査を進める中で、児童福祉や療育の分野では国・社会・企業・現場のいずれも課題を抱え、判断を支える仕組みが不足していることを知りました。卒業プロジェクトは、福祉・療育業界の構造的課題を可視化するとともに、私個人の日常の悩みや疑問が、社会の仕組みと地続きであると気づく機会になりました。
| タイトル | 広島インバウンド観光消費単価向上プロジェクト |
| 学生氏名 | 林 智也 |

広島の通過型観光の背景にあった、“働く現場”の本当の課題
広島県の外国人観光客による消費総額は全国14位でありながら、一人あたりの消費単価は20位にとどまっています。広島に通過型観光が定着している現状を課題と捉え、インバウンド消費単価向上のための施策を検討しました。外国人観光客へのインタビューや宮島の旅館への調査を行った結果、観光メニューの開発以前に、現場の労働環境や採用力の改善が不可欠であると考えるに至りました。そこで、宮島シーサイドホテル様に対し、SNSを活用した採用ブランディング施策を提案しました。SNS施策の有効性を評価していただいた一方で、費用対効果の不透明さや担当者の負担増加への懸念などの課題も新たに浮かび上がり、現場の声を取り入れることの重要性を知りました。
本プロジェクトを通して、仮説と現状のズレを整理し本質的な課題を見つける論理的思考力と、現場に足を運び対話を重ねる実行力が身につきました。社会人の基盤となる経験ができたと感じています。
| タイトル | 紙の本の価値を問い直す ~ZINE文化から考える新たな紙書籍との親しみ方~ |
| 学生氏名 | 濵﨑 なずな |

ZINEづくりワークショップが生み出す、新しい読書体験のきっかけ
「紙の本はこの先なくなるのだろうか」という疑問から、卒業プロジェクトを始めました。紙書籍の売上減少の背景には、消費スタイルの合理化、利便性や価格を重視する傾向など、さまざまな要因があります。その中でも私は、消費者の意識・行動の変化に着目。「紙書籍に親しむ人を増やす」という目的のため、実践的なアプローチを選びました。
アンケート調査の結果、読書には読むこと以外に、飾る・集める・共有するといった体験的価値が求められていると分かりました。そこで読書習慣が途切れがちな大学生を対象に、質感や厚みの異なる6種類の紙を用いたZINE(小冊子)を作るワークショップを実施。紙の特徴を意識しながらそれぞれのページを作ることで、紙書籍には「紙に触れる楽しみ」があるということを実感してもらいました。ワークショップの設計段階では悩むことも多かったですが、ターゲットを明確にし、課題解決に最適な方法を考える経験は、とても良い勉強になりました。
| タイトル | 釣りを通じて魚・自然・人の三者のかかわりを探求する オートエスノグラフィーとフィールド調査を中心に |
| 学生氏名 | 山本 智也 |

川釣りと海釣りの違いが教えてくれた自然との向き合い方
趣味の釣りを楽しむ中で、「川釣り」と「海釣り」のルールの差に疑問を持ちました。川釣りでは遊漁承認証が必要であったり、魚のサイズ規定が厳しかったりと制限が多く、その理由を探ることを卒業プロジェクトのテーマにしました。文献調査に加え、自身の体験を振り返るオートエスノグラフィーやフィールド調査を行い、二つの釣りにおける自然との向き合い方の違いを考察しました。その結果、川釣りは海以上に周囲の生態系や地域環境に強く依存しており、その自然を守るために厳しい規制が設けられてきた背景が見えてきました。また釣具店でのインタビューから、釣りは日本の四季や社会環境、モラルに支えられた文化でもあると気づきました。規制は楽しみを奪うものではなく、自然を守り続けるための仕組みです。今後も環境への責任を意識し、勉強しながら釣りと向き合いたいですし、マナー向上の重要性を発信していきたいと考えています。
| タイトル | Applying Vertical Hydroponic in Urban balcony Trials for Cost-effective Stem Rot Prevention for Sustainable Hydroponic Balcony |
| 学生氏名 | TRAN Minh Sang |

食料問題への危機感から始まったベランダ栽培の挑戦
大学3年次のインターンシップで、日本の食料自給率の低下や高齢化社会といった社会課題を知りました。これらの解決に貢献するために、ベランダでのタワー型水耕栽培の導入実現性を検証しました。実験では立ち枯れや根腐れが何度も発生しましたが、栄養管理の改善や二酸化ケイ素の導入を行い、安定した栽培に成功しました。水の使用量は土壌栽培より大幅に少なく、作業負担も軽いため、誰でも暮らしに取り入れやすい方法であることも示すことができました。一方で、再現性の低さや明確なマニュアル不足が普及に向けた課題として残りました。
叡啓大学は文系のイメージが強いですが、プロジェクトのテーマは自由に設定できます。本プロジェクトでは社会課題に対し理系的アプローチを取り入れ、科学や生物学、化学の知識を大きく深めることができました。また、検証を重ねる中でなかなか成功に辿り着けず、辛いことも多かったですが、粘り強くやり遂げる力を身につけることができました。
| タイトル | 日記が筆者の感情に与える影響について 多面的感情状態尺度短縮版アンケートおよび自由記述による分析 |
| 学生氏名 | 前田 脩人 |

有効な自己対話の方法とは?研究から地域実践へ展開
友人の不登校体験をきっかけに、不登校の増加という社会課題に対して自分にできることはないかと考えてきました。また、大学2年次から実施してきた「言葉にするワークショップ」の経験を基に、“書くこと”による感情変化に着目。卒業プロジェクトでは、自己対話の手法である「ジャーナリング」が子どものメンタルケアに有効ではないかと仮説を立て、検証を行いました。
「書くチーム」と「書かないチーム」に分けた実験では、書くことがポジティブ感情の低下を防ぐ傾向が見られましたが、統計的有意性の点では課題が残りました。卒業後も、言葉にすることによる教育的効果についての研究を続け、江田島の地域おこし協力隊として、体験プログラムを継続的に開発していく予定です。不登校をはじめ、「自分のことが好きになれない」と感じる若者が、安心して思いを言葉にできる場を地域に根づかせたいと考えています。
卒業プロジェクトに関心をお持ちのメディアの方は、ぜひ広報担当までご連絡ください。
| お問い合わせ先 | 叡啓大学広報担当(日浦・太治) TEL:080-9208-0466 メール:publicrelations@eikei.ac.jp |