卒業プロジェクト事例
梶原 百恵
2022年4月入学
広島での平和活動から考える「当事者性」と「承認」「継承」のあり方


私は広島で続けてきた平和活動の経験から、日本において社会運動への関わりにくさを感じる要因を考える卒業プロジェクトに取り組んでいます。
中学生のときに参加した模擬国連をきっかけに、私は平和活動を始めました。高校では「高校生平和大使」として署名活動などに関わり、現在も核兵器廃絶や平和に関わる活動を続けています。一方で、平和への関心はあるのに行動に移さない人が多くいることへの違和感を覚え、その「違和感」を明らかにすることを本プロジェクトの目的としました。
まず着目したのが、「当事者性」と「非当事者性」の関係です。被爆者やその家族、肩書きを持つ人は“語るべき人”として受け入れられる一方、そうでない人は「自分なんかが平和を語っていいのか」とためらいがちです。そうした「当事者性」の有無が、活動参加のハードルに影響しているのではないかという仮説を立てました。
この仮説を確かめるために特に力を入れたのが、自分自身の経験を見つめ直すオートエスノグラフィーです。これまで経験してきた平和活動を振り返り、「そのとき何が起きて、どう感じたのか」を言葉にしていきました。
さらに、文献調査や平和活動経験者へのインタビュー調査も行いました。彼らの活動のやりがいとして「自分の活動が認知されたこと」を挙げる人が多く、「承認」の有無が参加動機に深く関わっていることも見えてきました。
また、調査を進める中で、平和活動特有の視点である「継承」というキーワードにも着目しました。被爆体験の継承は近年の平和活動で重要な取り組みとなっており、分析を進めることで新しい発見があるのではないかと考えました。
卒業プロジェクトに取り組む中で、自分の中にあった漠然とした思いを、「当事者性」「承認」「継承」といったキーワードとして洗い出し、自分の経験を客観的にみつめ分析することができているのはひとつの成果だと感じています。卒業プロジェクトの着地点に迷うこともありましたが、担当教員に相談しながら、このテーマの目的を繰り返し思い起こすことで整理することができました。


2025年11月11日開催の第2回卒業プロジェクト報告会では、外部評価委員の廿日市市 産業部観光課の空 正夫様、デジタルソリューション株式会社の蒲原 龍一様からフィードバックをいただきました。
空様からは、キーワードを軸に整理している点を評価していただいた一方で、発表で触れた「揺らぎ」という言葉について、もう少し聞かせてほしいという質問がありました。
私が「揺らぎ」と表現していたのは、平和活動そのものが目的化してしまうことです。平和活動自体が目的化してしまうと、何のための平和活動なのかという根本が揺らいでしまうと感じ、改めて言語化しました。
空さんからは「関心の低い人との距離をどう縮めるか」という問いも投げかけられました。今年、企画運営に携わった平和プロジェクトで工夫した点を例に挙げ、平和を意識しすぎない入り口にすることなどがハードルを下げるアプローチの一つになり得るのではないかとお話ししました。
また、蒲原様からは、「プロジェクトのゴールに向けて、現時点で見えてきたものは何か」という質問をいただきました。調査を通じて多くの人が平和について関心があるということを再確認できたこと、その小さな思いをすくい上げることで次のステップにつなげたいと考えていることをお話ししました。
Current Englishの授業で取り組んでいた関連プロジェクトとの重なりについて、担当教員からも質問がありました。授業の中で、私の卒プロの問いについて新たな知見を得ることができたことも、大きな助けになりました。
私は卒業プロジェクトを通じて、立場や肩書きにとらわれず、誰もが自分の思いを社会に届けることができるようにすることや、社会のあり方を変えたいと思っています。卒業プロジェクトで得た気づきをこれからも掘り下げ続け、私が取り組んでいる平和活動にも生かしていきたいです。

