すべての科目と授業で学生参加を促す授業スタイル


1クラス25人の少人数教育
学生一人ひとりにより応じた指導を行うため、原則として1クラス25人程度で授業を実施します。
※英語集中プログラムは1クラス16人程度です。
主体的に学べる100分授業
教員による一方向的な講義は最大で20%程度を目安とします。学生同士の対話やグループディスカッション、質疑応答の時間を多く確保します。
2コマ連続授業だから集中して取り組める
1コマ100分の授業を2コマ連続で行うことで、同時期に並行して履修する科目が少なくなり、ひとつの授業に集中して取り組むことができます。
理念とガイドライン
叡啓大学では、すべての科目と授業でアクティブ・ラーニングを行います。ここでは、叡啓大学の教育哲学を紹介し、アクティブ・ラーニングを実施するためのガイドラインを提示します。なお、教育哲学とガイドラインは、開学後、本学学生の取り組みや教育効果を検討し、FD活動を継続的に行うことで、見直しと改善を続けることとします。
アクティブ・ラーニングの考え方についてはこちらも参照:「アクティブ・ラーニングってなに?」
Ⅰ 叡啓大学の教育哲学
叡啓大学は、SDGsを支える理念である持続可能性と包摂性(「誰一人取り残さない」)を重視する。そのため叡啓大学は、従来の学問領域を超えて、幅広い知見と知識をもとに他者と協働しながらグローバルな課題群に取り組むことができるグローバル市民の育成をめざす。この目的のためには、アクティブ・ラーニングが有効だと考えられる。アクティブ・ラーニングを通して、学生は卒業時までに5つのコンピテンシー(先見性、戦略性、グローバル・コラボレーション力、実行力、自己研鑽力)を獲得できるよう教育を行う(ディプロマ・ポリシー)。
1. SDGsのアイデアを生かしたグローバル市民の育成
SDGsは、2030年を目指して達成すべき目標として国際社会が合意したものだが、持続可能な開発や包摂性に向けた努力は2030年で終わるものではない。したがって、本学のカリキュラムでは、SDGsの5つのP (People, Prosperity, Planet, Peace, Partnership) を基本的な枠組み(ウィンドウ)として用いている[1]。本学のカリキュラムを通して、個人や個別企業の利益や成長のみならず、他者と協働しながら課題に取り組むことを通して国際社会に貢献できるグローバル市民の育成を目指す。そのため、特定の学問分野における専門知識の伝達に留まらず、リベラルアーツ教育と実践的なトレーニングを提供する。
2. 教育理念を実現するためのアクティブ・ラーニング
グローバルな課題に取り組むためには、SDGsに共通する方法論であり、5Pのひとつである「パートナーシップ(Partnership)」が重要となる。すなわち、グローバルなコラボレーションを通して、さまざまな領域の専門家や実践者と連携することが求められる。そこで本学では、従来の学問分野による区分ではなく、リベラルアーツとグローバルな課題を中心に据えた教育を行う。さらに、各授業では、クラスメイトや教員との相互作用と協働学習を重視するアクティブ・ラーニングを徹底することで、学生は知識を生きた形で学ぶことができる。本学で育成する5つのコンピテンシー(先見性、戦略性、グローバル・コラボレーション力、実行力、自己研鑽力)は、特定の専門や職業に限定的な知識やスキルではなく、先行き不透明な社会においてありうべき社会システムを構想することができ、ひいては責任あるグローバル市民として今日的な課題に取り組み、国際貢献を行うための資質・能力である。
Ⅱ 叡啓アクティブ・ラーニングのための実践ガイドライン
1. 基本方針
- 安全で公平なキャンパス:学生の多様性を尊重し、誰もが差別や不当な不利益を受けないよう合理的な配慮を行う。
- さまざまなタイプの学生が実力を発揮し、能力を伸ばせるような教育を目指す。
- 教員は学生を信頼し、学生の主体性を重視する。
- 学生同士、学生と教員、教員同士のコラボレーションを重視した教育を行う。
2. 教育ガイドライン
- コラボラティブな学びを促進するため、授業時間のうち教員による一方的な講義は最大で20%程度を目安とし、残りを双方向、演習並びに体験型等の授業に充てることを原則とする。
- 1)主体的な情報の獲得、2)学生主体のアクティビティ(経験)、3)振り返りや評価等のリフレクション、の3要素を組み込むこととする。
- 事前学習・アクティビティ主体の授業・事後学習というのがモデルの一つだが、必ずしも授業前・授業中・授業後に分ける必要はない。モデル・ケースを適宜参考にしながら、各教員が科目の特性や学生の学修レベルを考慮しながら3要素の組み合わせを調整する。
- なお、文科省は、1単位につき45時間の学修時間を標準としている。したがって、教員は、学生が十分に授業外学習(事前と事後)を行えるよう配慮した授業設計を行うものとする。
- 授業の進め方や評価方法についてシラバスに明記し、学生に対して十分な説明を行う。
- アクティブ・ラーニングの手法や評価方法をFD活動で共有する。
- 教員間のコラボレーションと教育の質の向上のため、相互に授業を見学したうえで、建設的なフィードバックの提供を行う。
[1]People, Prosperity, Planetは、アイデンティティデザイン、ビジネスデザイン、エコシステムデザインという3つのウィンドウに緩やかに関連づけられる。ウィンドウは、学生が相互に関連する課題を把握するために用いることができる視点や枠組みとして位置づけられる。本学では、PeaceとPartnershipに相当する「平和・共創」を「基盤科目」として設定し,PeopleとProsperityとPlanetに対応する枠組みとして「発展科目」のウィンドウ(アイデンティティデザインとビジネスデザインとエコシステムデザイン)を設定している。
よくある質問と回答
アクティブ・ラーニングのガイドラインについて
「授業時間のうち教員による一方向的な講義は最大で20%程度を目安」とすると書かれていますが、これは各授業の20%、つまり100分中20分までという意味ですか?
授業時間の20%とは、1クォータにおけるコース全体の20%という意味です。したがって、科目によっては、はじめの数回の授業では講義時間を多めにとり、学生が基礎的知識を得てから他のアクティビティを増やしていくという方法も考えられます。なお、効果的な学修方法は、科目や教員の専門によっても異なります。したがって、各授業は、ガイドラインに示された考え方に則り、科目の内容や目的を考慮したうえで、教員がもっとも適切と考える方法で運営されます。
「一方向的講義」とはどういう意味ですか?
教員が一人で学生に対して科目の内容を一方向的に解説するような、いわゆる伝統的な大学の大教室での講義をイメージしています。ガイドラインでは、このような講義を20%までとし、80%をその他の活動に充てるように定めています。ただし、教員が話している時間の合計を測るわけではありません。たとえば、学生の質問に答えたり(双方向の授業)、学生のプレゼンテーションやディスカッションに対して教員が事実確認を行ったりフィードバックを提供することも重要な教育活動です。これらは、「一方向的な講義」には含みません。
アクティブ・ラーニングの評価について
アクティブ・ラーニングでは、ディスカッションやグループワークを重視すると聞きました。だとすると、意見を積極的に話す、いわゆる声の大きい学生が有利になるのではないですか?
まず、ディスカッションやグループワークにおけるアクティブ・ラーニングとは、自分の意見を述べることだけではなく、人の意見をしっかりと聞くことや共にファシリテーションを行うことを含みます。
つぎに、授業中のアクティビティは、アクティブ・ラーニングの一部でしかありません。叡啓大学では、すべての授業で、1)主体的な情報の獲得、2)学生主体のアクティビティ、3)振り返りや評価等のリフレクション、の3要素を組み込むこととしています。ディスカッションやグループワークは2)のアクティビティの例ですが、それだけではアクティブ・ラーニングにはなりません。データや知識を得たり(1)、それをさまざまな角度から批判的に振り返ること(3)との組み合わせが、深い学びにつながっていきます。
最後に、学生のタイプによって「アクティブ」な取り組み方は違うはずです。たとえば、アクティブに文献を読んでくる人も、アクティブに議論に参加する人も、どちらもクラスにとって重要な貢献をしてくれるかもしれません。叡啓大学では、多様な学生によるアクティブな学びの手助けをしていきたいと考えています。その一方で、大学教育では、自己の成長が重要な部分を占めます。成長のためには、自分がどんなタイプなのか、どんな学習者なのかについての自己認識を広げていくことが求められます。したがって、自分が慣れ親しんできたことや得意だと思っていることを繰り返すだけではなく、これまでのやり方から一歩踏み出して、別のやり方を試すことも大切になります。クラスメイトを観察することで、新しい学び方のアイデアを得ることもできるでしょう。
コンピテンシー評価とはなんですか?コンピテンシーはどのように評価するのですか?
コンピテンシーは、専門分野で得た知識やスキルを、さまざまな領域や場面で活用できる能力を意味しています。叡啓大学の学生は、アクティブ・ラーニングを通して、卒業時までに5つのコンピテンシー(先見性、戦略性、グローバル・コラボレーション力、実行力、自己研鑽力)を獲得することを目指します。各授業には5つのコンピテンシーの一部が割り振られています。授業を担当する教員は、科目の専門知識に加えて、学生のコンピテンシーを評価します(コンピテンシー評価は授業評価の20-30%。詳しくは「叡啓大学成績評価ガイドライン」を参照)。
具体的には、たとえばディスカッションでの発言やファシリテーションの様子からグローバル・コラボレーション力を評価したり、グループワークへの取り組み方から実行力を評価したりという方法が考えられます。コンピテンシー評価では、レポートやプレゼンテーションなど最終成果物の質のみならず、そのプロセスにも注目することになります。
コンピテンシー評価は、教員による主観的な評価になるのではないですか?
完全に客観的・中立的な評価は原理的に難しいですが、教員による恣意的で不公平な評価を避けるための取り組みを行っていきます。
まずは、シラバスや授業での説明を通して、学生に評価方法を明示します。
また、毎年、教員同士でコンピテンシーを含めた成績評価のレビューを行います。これにより、複数の教員で評価方法をチェックしあい、学びあいます。さらに、全教員で評価方法の事例を共有しあい、よりよい評価を探求していきます。
以上の活動を反映させながら、アクティブ・ラーニングや成績評価のガイドラインの見直しを行います。