2024年度叡啓大学研究推進事業に採択された研究の成果を報告します。
本学では、研究活動の振興を図るとともに、本学の教育の質の向上及び社会課題の解決につなげることを目的として叡啓大学研究推進事業を実施しています。2024年度に採択され、研究事業期間が終了した研究について、成果を報告します。
研究代表者 | 上杉 裕子 教授 Professor UESUGI Yuko |
研究テーマ | Sylvia PlathとVirginia Woolfの比較文学研究―異文化に生きる二人の作家に見るジェンダー問題を探って― A Study of Comparative Literature on the Works of Sylvia Plath and Virginia Woof: Exploring Gender Issues Seen from the Viewpoints of the Two Writers Who Lived in Different Cultures |
研究成果 | 本研究は、アメリカの詩人シルヴィア・プラス(Sylvia Plath, 1932–1963)およびイギリスの作家ヴァージニア・ウルフ(Virginia Woolf, 1882–1941)の詩と散文を精緻に読み解くことを基盤とし、英米文化とジェンダーに関する交差的視座からの分析を目的として実施された。両作家の作品に潜在する思想や感性の構造を明らかにし、「母」「妻」「詩人」「作家」としての多面的なアイデンティティに着目しながら、それぞれの立場から提示されたジェンダー観を批判的に検討した。 作品の精読に際しては、英米それぞれの歴史的・文化的背景を十分に踏まえた比較文化的観点を重視し、両者の作品がいかに時代、国、そしてジェンダーという要素の影響を受けて形成されたかについて考察した。こうした分析の結果得られた知見は、個別的でありながらも普遍性を有しており、現代に生きる私たちが自身のアイデンティティや生き方を再考する契機となり得ることが明らかとなった。 現在執筆中の単著においても、両作家が提示した人文学的意義の普遍性を広く社会に伝えることをめざしている。具体的研究成果は以下のとおりである。 <学会発表> – 2024年8月5日:叡啓大学IEPにおけるポスター発表(学生との研究成果の共有) – 2024年7月27日:日本比較文化学会中四国支部大会(オンライン) – 2024年10月12日:日本アメリカ文学会全国大会(中京大学) <論文(査読付)> – 2025年1月刊行『比較文化研究』第158号 pp.19-32 論文題目:「Sylvia PlathとVirginia Woolfの作品を比較して―異文化に生きた二人の作家のジェンダー観」 |