広島県公立大学法人 叡啓大学

吉田 奈央

卒業
プロジェクト
テーマ
日常から作り出す高齢者コミュニティ ~買い物が楽しみになるレジ~
卒業
プロジェクト
概要
「スマイルレジ」は、セルフレジの普及に逆行し、高齢者が店員とゆっくり会話を楽しみながら買い物できるレジを提案するプロジェクトである。孤独感の解消やリピート顧客の増加を目指し、買い物をコミュニケーションの場として活用する。

ブルーオーシャン戦略で検討した
「スマイルレジ」の効果と接客ニーズ

卒業プロジェクトでは、高齢者が会話を楽しみながら買い物ができる「スマイルレジ」の在り方を検証しました。このアイデアは、アルバイト先の百貨店での接客を通して得た気づきから生まれたものです。特に高齢のお客様が店員と話す機会を求めていることや、セルフレジの操作に苦労する様子を間近で見て、高齢のお客様にとっては「効率」よりも「交流」の方が重要だと感じたからです。

プロジェクトでは、「スマイルレジ」を実現するため、「経営学概論」の授業で学んだブルーオーシャン戦略を活用し、逆転の発想をしました。ブルーオーシャン戦略とは、競争のない未開拓市場で新しい価値提案をするために、特定の機能を追加・拡充する一方で、別の機能を削除・縮小することで利潤を最大化する戦略です。私は、既存のビジネス戦略(=セルフレジの普及)を反転させ、店員と顧客の交流を重視した新たなサービスを設計しました。高齢者の孤独感を和らげ、コミュニケーションニーズを重視したレジを提案することで、リピート客の増加を目指しています。

プロジェクトを検証するために、まずはアルバイト先での「スマイルレジ」の導入を提案しましたが、レジ店員の接客能力の必要性や人手不足などの理由で、導入は難しいことが分かりました。情報収集を進める中で、福井県民生活協同組合ハーツ羽水店様で「ゆっくりレジ」を実践していることを知り、実際にその店舗でフィールドワークを行うことになりました。

レジでの接客の様子を観察し、お客様や店舗へインタビューを行ったところ、お客さんの反応はどれも好意的で、「ゆっくりレジ」のニーズは確かにあることを実感しました。その店舗では、特別なコミュニケーションのトレーニングは行っておらず、「顧客とのコミュニケーションを重視し、お店のファンになってもらえる店舗づくり」という意識を全従業員に定着させることを徹底し、「ゆっくりレジ」を実現していることが分かりました。

誰もが「スマイルレジ」の接客スキルを身につけるにはハードルが高く、属人的でないシステムを定着させるにはまだ課題はありますが、この実地調査を通じて、高齢者のみならず、多くの顧客にこのサービスが必要であると感じました。

最終報告会でのフィードバック

2024年11月11日(月)開催の「卒業プロジェクト最終報告会」にて、プロジェクトの進捗報告を行いました。
報告会では、外部評価委員として企業・行政などのステークホルダーを招き、プロジェクトに対して、新規性、実現可能性などの観点からフィードバックをもらいます。
私のプロジェクトには、公益財団法人広島観光コンベンションビューロー 魅力創造部 誘客・受入担当部長 蒲池清士様、株式会社エイチ・アイ・エス 中四国事業部 営業販売チーム 兼務)人事・管理チーム 友池 大介様からフィードバックをいただきました。

<フィードバック内容>

・サービス業界では、これから日本の人口が減少していく状況にあり、新規顧客の獲得が難しい時代を迎えるため、顧客リピート率は重要な数値であり、その観点から非常に良い取組である。

 一方で、セルフレジに対して回転率で劣る部分もあるため、回転率の低さからどのように売上に繋げていくか、例えば、お客様とのコミュニケーションの中で、追加で商品を買っていただくなど、新たな工夫も必要になると考えられる。

・セルフレジと比較した際の回転率、顧客1名に対してかける時間と売上について、数値的に整理することが好ましい。「スマイルレジ」のベネフィットをより具体的に、数値的に示すことができれば、より良い提案となる。

フィードバックいただいた内容をプロジェクトに反映するとともに、今後、顧客満足度を高める意識を従業員に浸透させる手法や、様々な業態においても「スマイルレジ」が導入できるようにする工夫や店舗側のベネフィットの整理、先行事例である「ゆっくりレジ」との差別化など引き続き調査と検証を進め、2025年2月の卒業プロジェクト最終報告書の提出と公開プレゼンテーションに臨みたいと考えています。

 卒業プロジェクトを通じての自身の成長

プロジェクトを通じて、顧客のニーズを論理的に検証して見抜く力が身につき、顧客が本当に求めるサービスを把握する重要性を学びました。さらに、高齢のお客様が日常で直面する困難に理解を深め、接客業の本質的な価値についても学ぶことができました。プロジェクトの成果として、プライマリーアドバイザーにサポートしてもらいながら、顧客のコミュニケーションニーズに応じるサービス提案ができたことにも大きな達成感を得ています。卒業後も小売業に携わる予定で、顧客に寄り添い、心の通った接客の重要性を再認識できた経験を活かして、多くの人に喜ばれる接客を提供していきたいです。