広島県公立大学法人 叡啓大学

2024.03.07

【開催報告】前野隆司様ー叡啓大学イブニングラウンジ 2024/2/6

叡啓大学では学生のコンピテンシー育成及びキャリア形成支援の一環として、「イブニングラウンジ」を開催しています。

2月6日(火)のイブニングラウンジでは、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授で、慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長も兼任されている、本学客員教授の前野隆司様に講演いただきました。

日時等

2024年2月6日(火曜日)17:10~18:50

対象

叡啓大学の学生、教職員並びに学外の方

講演タイトル

Era of well-being -What humans should do

講師

慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授、慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長

前野 隆司様【本学客員教授】

ウェルビーイングの定義

前野様は、初めに、ウェルビーイングを日本語に直訳した際、「幸せ」とはならない。幸せであることと、ウェルビーイングであることは似ているが、違いがある。「being=状態」「well=良い」であり、「心の良い状態にあること」をウェルビーイングと定義できると説明されました。

人類の20万年の歴史において、人口は増える時期と定常する時期があり、農耕革命と産業革命の時期には人口増加をもたらしました。しかし今、日本は少子高齢化で定常化し始めており、まさに大きな転換期に立っています。

人口が増加期から定常期に入る時には「心のビッグバン」が起こります。「心のビッグバン」とはすなわち、芸術や文化、思想が生まれることを指し、文化的な時代を迎えます。変化の時代を迎える時は、多くのことが起き、困難に感じることが多いため、私たちは自分自身を幸せな状態にしておくことが必要となります。だからこそ、これからの私たちにはウェルビーイングが重要になると話されました。

お金や物、地位等の「地位財」型の幸せは長続きしないが、健康や安全、心の幸せ等の「非地位財」型の幸せは長続きします。そして後者には「やってみよう因子」「ありがとう因子」「なんとかなる因子」「ありのままに因子」の「幸せの4つの因子」があるそうです。前向きな人は、そうではない人に比べて創造性と生産性が高いというデータがあり、前向きであることによってより良い世界を創ることができます。
ポジティブであるかネガティブであるかは、それぞれ各自で決めることですが、ウェルビーイングである方が良い。日本人は心配性気質な人が多い傾向にあるが、チャレンジすることが大切であり、より良い世界を本当に創りたければ、前向きである必要があるとお話しくださいました。

これからは、美しい文化や芸術、哲学の時代がやってきます。より良い世界を創るために共に力を合わせることが大切で、どのようにして生活や製品の中に、ウェルビーイングを取り入れることができるのかを考えてもらえたら嬉しい。皆さんが考えることで、新しい世界を創ることができると信じている、とメッセージをくださいました。

今回の英語開催は、留学生も多く参加しました。
学生からの「日本でウェルビーイングを必要としている人たちに広めるにはどうしたらいいのか?」という質問に対し、「教育現場や企業間での教育が大切であり、まずは身近な人から少しずつ輪が広がるように、人から人へつなげていくことが大切である」とお答えいただきました。講演後も学生たちの質問に親身に対応してくださいました。

前野様、貴重なお話をありがとうございました。