大学案内
卒業生
小原崇聖さん
福助工業株式会社 2026年3月卒業
2026年3月更新
問い育て・意見を交わし・線となる
自分の問いを育てられる場所を探して
高校時代の私は、「学ぶことの本質」と正面から向き合いたいという思いを抱えていました。受験勉強は、ただ与えられた内容をこなすだけの“作業”のように感じられ、「なぜ学ぶのか」という根本的な問いに向き合う余裕もありませんでした。大学では自分の問いを起点に学びを積み上げ、知識を点から線へと繋げていく、そんな学び方をしたいと考えていました。
転機となったのは、高校時代に聞いた国際協力に関するお話でした。支援活動が必ずしも相手の“幸せ”につながるわけではないという視点に触れ、価値観を一方的に押しつけてしまう危うさに気づかされたのです。
その問いを抱えたまま大学で出会った「文化人類学概論」では、相手の価値観や世界の捉え方を自分の思考に取り込みながら理解し直していくという姿勢を学びました。自分自身をアップデートし続けながら他者と真摯に向き合うこの学問に、私は強く惹かれていきました。
文理の枠を越えて多様な学問を選び取れる環境、自分の問いを育てるリベラルアーツ、課題解決演習(PBL)、留学生との交流、そうした条件が揃っていた叡啓大学は、私が求めていた「自分だけの問いを育てる」という学びの場そのものでした。中でも特に惹かれたのは、多様なバックグラウンドをもつ教員陣の存在です。それぞれの現場で培われた深い専門性を持つ方々から直接学べる環境は、他では得難いものだと感じ、この大学で学びたいという思いが迷いのない確信へと変わりました。


見えるつながり、見えないつながりが広げた私の視野
大学では、課題に向き合い、解決策を考えるプロセスを授業の中で何度も繰り返してきました。学びを深めるほど、世界にはどうしようもないほど大きく、時に理不尽とも思える現実があることも知りました。「こうすればいい」という考えが机上の空論にすぎないと感じ、無力さに落ち込むこともありました。
そんな中で、私の視野を大きく広げてくれたのがリベラルアーツ科目です。なかでもエコシステムデザインのフィールドワークでは、ゴミ処理施設や環境保全の現場、気候観測施設など、普段は足を踏み入れない場所を訪れました。私たちの日常を陰から支える無数の仕組みと、そこに携わる人々の姿を目の当たりにし、直接的な関わりで見える「見えるつながり」だけでなく、公共インフラや環境保全のような「見えないつながり」が確かに生活を支えていることに気づきました。
それ以来、物事をより広い視野で捉え、背景や構造まで含めて理解しようとする姿勢が自然と身につきました。同時に、「世界をどう変えるか」という大きな問いだけにとらわれず、「自分の手の届くところで、今できることは何か」へと問いの立て方も変化しました。たとえ小さな一歩でも、確かな意味がある。そう実感できたのは、挫折も成功も学びに変えてきた経験があったからだと思います。
この視点は今後の学びや仕事でも、表面的な事象にとどまらず社会全体の文脈を読み解く力として、そして地域規模・日本規模・地球規模の広い視点で課題解決に向き合う姿勢として活かしていきたいです。


問いを変えて見えた、等身大の貢献のかたち
幼い頃の私は「世界を変えたい」「貧困に苦しむ人を救いたい」と信じていました。けれど、大学での学びや留学を通して世界の理不尽さや問題の複雑さに触れる中で、1人の力で関与できる範囲が限られていることも実感しました。そこから私の問いは、「世界をどう変えるか」ではなく「自分に今できることは何か」へと変わりました。まずは目の前にいる人を笑顔にすることから始め、小さな行動を丁寧に積み重ねる。その姿勢を通じて育ったのが、自己研鑽力です。学び、試し、振り返り、また次に活かす。その繰り返しが、等身大の自分にできる確かな貢献だと今は思っています。社会に出た後は、家族や友人、同期や上司など、出会う人との一つひとつのつながりを大切にしながら、身近な幸せに誠実に寄り添う行動を続けていきたい。たとえ大きな成果ではなくても、その積み重ねがいつか想像を超える形で誰かの人生に届くと信じています。


受験生・後輩へのメッセージ
これから大学に進む皆さんにも、心と体の健康「ウェルビーイング」を大切にすることを意識してほしいと思っています。
叡啓大学には、授業だけでなく課外活動や部活動、プロジェクトなど、さまざまなことに主体的に取り組む学生が多くいます。その姿勢は本当に素晴らしい一方で、誰よりも頑張り屋で、自分の限界に気づきにくい人が多いように感じます。私自身も、気づかないうちに無理を重ねてしまった経験があります。
何かに一生懸命取り組んでいると、つい自分のことを後回しにしてしまうものです。でも、「少し疲れたな」と感じたときには、遠慮せず立ち止まってほしいと思います。少し休む、好きなことをする、誰かに話を聞いてもらう——そうした小さな行動が、心身を守ってくれます。
大学生活は自由度が高く、挑戦できる環境がたくさんあります。その分、自分のペースを守ることはとても大切です。心と体が健康であるからこそ、学びも活動も、そして毎日の生活も充実していきます。
どうか、自分自身を大切にしながら、あなたらしい大学生活を歩んでください。
あなたの明日が、少しでも穏やかで、温かいものでありますように。
【関連リンク】